登録支援員実習4日目(その2) 日常生活自立支援事業と成年後見の切れ目ない支援

社協の日常生活自立支援(権利擁護)事業から成年後見にスムースに移行するには、市民後見人の養成が大切だ、という論文を読む。 要旨は以下。

社協の日常生活自立支援事業は、平成12年の介護保険施行に先立って、要介護認定判定の開始時期に併せて施行された。 社会福祉が措置から契約へ移行するのに伴い、判断能力に不安がある人に対して、福祉サービス利用契約支援や日常的な金銭管理を、行政や地域包括支援センターと連携して支援するのが役割。 この判断能力が更に欠ける常態になると、成年後見制度により、利用者の判断能力のレベルに応じた支援が行われる。 当然、日常生活自立支援事業から成年後見への移行に際しては、切れ目のない支援が要請される。

しかし、社協の担当する日常生活自立支援事業は、低所得者層を対象としており、成年後見についても、適切な後見人等の候補者がいない場合で、その大半が、生活保護受給世帯や住民税非課税世帯という低所得者に限られている。
となると、公費助成を行ったとしても、専門職による成年後見人を依頼するには、金銭的に難しい場合が多いと予想される。

ここで登場するのが、地域福祉と市民参画である。 即ち、地域の課題を地域で解決するという地域福祉の基本的な考え方に立脚し、その担い手として市民後見人を位置づけることによって、更に重層的な地域福祉の推進に寄与せしめる。 自助、公助の中間に共助、または互助を考えようと言うもの。 「新たな公共」である。 参画型社会福祉である。 この仕組みを機能させるには、市民後見人の定義の明確化や養成と活動支援のシステム構築、地域力の活性化等が必須だそうだ。
要するに、それなりにお金のある人や恵まれた家族環境にある人は、専門職後見人を依頼することは可能だが、低所得者層や独居高齢者などは、地域社会が支えなければならない、ということのようだ。
上記の観点からは、西東京市はかなり真面目に市民後見人の養成に取り組んでいるように見える。 登録生活支援員として実習中の我々6名は、今後の西東京市の市民参加型社会福祉のモルモットのようなもの。 かなり責任が重い、と感じた。


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登録支援員実習4日目(その1) 預金の払い出しに同行

生活支援員の主要な仕事は、福祉サービス利用契約支援と日常的な金銭管理。利用者が通帳を管理している場合は、銀行に同行して預金を引き出すのを支援。本日の利用者は、生活保護(以降、生保と略)を受けているので、本来は預金は殆どないはずだが、何故か定期預金が見つかった。 爪に火を灯すようにして貯めたものだろうが、元は税金。 この定期預金は、生活費に充当するのが当然。 ということで、市役所の生保ワーカー(ワーカーというと、元メーカー勤務のタカさんは、工場の工員を想起するが、福祉の世界ではスペシャリストを示すようだ。ソーシャルワーカーとかケースワーカーというように使われる)と社協の担当相談員、同僚の登録生活支援員の4名で利用者を訪問。
目的は、利用者の定期預金を解約して普通預金に預け換え、その普通預金から当座の費用を現金で引き出す、というもの。

利用者は、西東京市の市民だが、現在は近隣地区の介護老人保健施設(以降、老健と略)に入院中。 なので、西東京市から外へ。これは予想外。かなり遠くへ出ることもあるようだ。 地域福祉は、地元と狭く考えていたが、地理的には100km程度まではカバーする可能性もあるそうだ。
次に、利用者は1年以上この老健に居るというのには驚いた。 本来老健は、自宅復帰のためのリハビリ施設で、3ヶ月を限度に受け入れるのが規則。この老健は何時までも居れるようだ。いわゆる特養待ちの「たらいまわし」の必要もない。

老健に入ると、例(ゴミ屋敷?)の臭いが鼻を突く。 が、数分で慣れる。 利用者を 車椅子に乗せてから、生保担当ワーカーが本日の目的を説明。 途端に利用者が拒絶反応を示す。 事前に話してあったはずだが、理解していなかったのか、はたまたいざとなると気持ちが揺らぐのか。 コツコツ貯めた預金が引き出されるのは、大きなショックではあろう。(と、勝手に想像したが、本当のところは分からない) こちらも、このまま引き下がれない。 懸命に説得。 何とか道理が通ったようだ。 早速、(気が変わらない内に)車椅子を車に積みこんで銀行へ。 炎天下、どうにか利用者を銀行内に運び込んだが、長い行列。 このままだと、利用者の体調にも影響するので、頼み込んで特別対応となった。やれやれである。 ところがこれかも悪戦苦闘。

まずは、自署のサイン。どうにか独力で成功。 次は、定期預金の解約。 これが大苦戦。 生体認証が上手くいかない。 手のひらがやや硬直して大きく開くことができないので、何度試みても失敗。 とうとう銀行側が認証を断念。 暗証番号の入力で認証すると言う。 さて、利用者が暗証番号を覚えているか? 皆がそっぽを向いている中でテンキーを叩く。 やった、1回で成功。 全員が安堵のため息。
次に普通預金から現金の引き出し。 車椅子で、ATMへ向かう。 今度は、暗証番号の入力で失敗。 何故? まず、タッチパネルのテンキーでは、入力の確認が実際のテンキーのようにはいかない。 ATMは立って操作することが前提なので、車椅子では不可能。 一応立ち上がるのだが、フラフラして安定しない。 結局、生保ワーカーが代理操作せざるをえなかった。 文明の利器も、不便なものだ。 大体、高齢者に生体認証によるセキュリティを勧めないで欲しかったな・・・。

今回は、生保ワーカーと協働したが、生保ワーカーの仕事の内容は生活支援員と似ている。 生保ワーカーは利用者へお金を渡す「入り」の立場から、生活支援員は利用者がお金を支払う「出す」の立場から、の金銭管理。 生活支援員が金銭管理中に、預金が底を付いて、生保を申請。 または、生保利用者が、計画的な金銭管理ができなくなり、生活支援員が支援。 という、両方の形が考えられる。 生活支援員にとって、生保の勉強が重要のことがよく理解できた。

今回の経験で、研修で学んだ「原則(理想?)」と、現場での「現実」のギャップを知ることができた。 上記に一部記述したが、他にも、生保の最低限の生活水準レベルでコツコツと貯金する人と貯金するだけ損だからと節約をしない人の存在。 特養(終の棲家)で、利用者の金銭管理を行って、喜ばれていると言う事実。 じょくそう(床ずれ)防止のための空気マットが必需品のようになっている事実、などなど。

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新任民生・児童委員研修 第1日目出席(7月26日)

7月に委嘱された新任民生委員への東京都の集合研修が3日間ある。 その初日に出席。 約40名が参加(3ヶ月毎に新任者への集合教育がある模様)。 8割が女性。 地域福祉は女性で持っているのを再々認識。 男性は、定年退職したと思しき人ばかり。女性も年配者が多いが、年齢には幅がある。
三日間のカリキュラムを見ると、社会福祉協議会の生活支援員の新任研修と重複している部分が多い。 重複はしているが、大事な話は何度聞いても無駄にはならないし、飽きることもない。 非常に有意義であった。

まずは、オリエンテーション。 聴衆は、成り手がいない(誰も希望しない)民生委員に、(自ら積極的にではないにしても)なってしまって、不安(と不満)一杯の新任者。 「皆さん最初は誰でも不安なものです」「大丈夫ですよ」「やればできます」「自信を持って」「知識・技術・情報は後から学べます」等の勇気付の言葉の氾濫。 当方は、社会貢献型後見人の養成基礎講座を修了し、4月から社会福祉協議会の生活支援員として福祉の現場で実習中。 できないはずはない、とは思うが、民生委員は、地域福祉の中では特異な位置を占めている感がある。 人間性が問われるので油断はできない。

次に、実務的な話。活動に際しての留意事項。しなければならない(してはいけない)ことの説明。してはいけないことは、個人情報の漏洩と政治活動。守秘義務について繰り返し警告された。ケース記録票と調査・意見書の作成についても厳しい制約が課せられた。また、活動記録の記入方法についての説明もあり。とにかく、きめ細かな報告を要求される。 報告のための報告でなければよいが・・・。

最後は、傾聴(「社会福祉相談入門」)のお話。 もう何度も傾聴の話は聞いているが、人の話を聞くのは本当に難しい。机上で分かっていても、実際に身に滲み込んだ自分自身の聞き方の癖は、簡単には治らない。 今更性格を直すのは無理というもの。 自分の聞き方の傾向を意識化することが、大切だそうだ。 傾聴モードに切り替えると表現していた。 傾聴前に鏡の前でニッコリするのも効果的。 心の在りようは顔にでるが、顔の在りようも心に影響する、ということ。 本当に奥が深い。

2日目と3日目は8月後半に開催。 とりあえず、一ヶ月間、傾聴の意識化に努力してみよう。

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Wordpressのテーマを変更 ついでに色々変更

Wordpressは見え方・見せ方を変更できる。丁度着物を着せ替えるようにだ。 この着物をテーマと呼ぶ。
従来wsc4というテーマを使っていたが、wsc5に更新した。 色々、表示が狂ってきたので、思い切って、テーマを変更したもの。 着物を変更するのは楽だが、今回は少々トップ画面のイメージを作りこんでいたので、ついでに変更した。 とりあえず今のところは、順調に移行が完了した。

今度は何時、Wordpress3.0に移行するかが課題。 テストでは上手くいっているのだが・・・・。 時間に余裕があるときでないと難しそう。

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地方財政分析の学校-歳入分析へ 目から鱗 (7月22日)

宿題を前日夕方にやっと終えた。2週間に一度だと、気が緩む。 宿題は、総務省のサイトから地方財政分析の情報開示、通称「5点セット」をダウンロードして、プリントしてくるというもの。 簡単だが、資料がPDFである理由が分からない。 総務省としては、excelを公開して、色々分析をされるのが嫌なのだろうか。 尤も、この転記作業自体が、分析する上で大切なプロセスかもしれない。 (後で調べたら、東京都では類似の資料をexcelで公開していた。 一部ではあるが)

本日の作業は、決算カードの収支状況の欄他から、決算額の推移分析表への転記から始まった。平成13年度(西東京市が誕生)から平成20年度(平成21年度はまだ未公開)までの全データ。この決算額の推移を見ると、その自治体の財政の健全度がよく分かるそうだ。しかし、収支状況欄他の11項目×8年分、約90項目の転記はキツイ。転記しただけでなくグラフ化も推奨される。 やはりエクセルでの提供を! 総務省殿

それにしても、この決算カードは素晴らしい。 日本の官僚の優秀さを示すものだそうだ。 地方を管理するためのが目的ではあったが。  全都道府県、市町村の財務状況が、一枚の決算カードに凝縮している。 誰でも簡単に入手できるが、読みこなすにはそれなりの知識が要る。 議員さんも、ジャーナリストも全く読みこなせていない、と悲憤慷慨が、時々混じる講義が楽しい。 続きを読む

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