「日本の借金はギリシャを超えた。日本も破綻?」は、間違い?

地方財政分析の講義で、歳入の勉強をした。 その際、日本政府の借金は900兆円超、地方自治体の借金は200兆超、計1100兆円の借金は、ギリシャを超えた、日本の財政も危ない、というように書いた。 先生がそう解説したし、新聞やテレビでもそう報道している。
しかし、日経ビジネスによると、ギリシャの借金と日本の借金は全く別物なので、単純にその絶対額を比較するのは愚だそうだ。

政府の借金は、① 政府が自国通貨建てで自国から借りた負債、②政府が自国通貨建てで他国から借りた負債、③政府が外貨建てで他国から借りた負債、④政府が共通通貨建てで他国から借りた負債で、ギリシャ政府の負債の7割は④ に当たり、日本政府発行の国債の95%が① である。さらに日本政府の場合、外国人が保有する国債についても ② に該当する。すなわち日本の場合、過去に発行した国債の、ほぼ100%が日本円建てなのである。

ちなみに、アメリカ政府の負債は①と②が半分ずつで、2001年に破綻したアルゼンチン政府の負債の多くは ③ であった。

債権者が国内投資家だろうが、あるいは海外投資家だろうが、国債が自国通貨建てである限り、現在のギリシャが陥っているような「政府のデフォルト(債務 不履行)」の危機は生じ得ない。政府の資金調達、すなわち国債発行時の金利水準が上がっていけば、中央政府が国債を買い取る(=買いオペレーション)こと で、金利を抑制すれば済むだけの話なのだ。

ということで、それ程、大騒ぎしなくても良いらしい。 上記記事では更に国債を増発しろと主張している。 しかし、借金は怖い。 やはり、このまま国債増発をするのは限界のような気がする。 ロジカルではないかもしれないが・・・。

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介護保険と年金は補完関係?

8月13日の日経新聞朝刊に、先日の投稿記事「生活保護適用の不可思議?」に関連する記事が載った。 介護保険を使って特養などの入居している人の場合、保険の利用者負担が定額だと、本人の銀行口座に現金がたまり続けることがある。 本人の死後に家族が口座を相続すれば、その年金は「現役を退いた後の基礎的な生活を支える」という本来の趣旨を外れた使われ方になる。というもの。
これを読んだ時にいささか違和感を感じた。 年金は掛け金を払った結果として貰っているのだし、介護保険は保険料を払った結果として貰っているのだから、両方が支給された結果、現金がたまっても問題ないのではないか、と考えたのである。
現在、特養に入所すると、月額8~12万円程度の費用が掛かる。仮に年金を月15万円貰うと、月に3~5万円の現金が貯まることになる。(特養の入居者は外出してお金を使うことがないので) 何が悪いの?

しかし、これを税金の観点から見ると、記事の言わんとすることも理解できる。

介護保険は保険ではあるが、その財源の半分は公費、即ち税金が投入される。 また、年金もその財源の半分は税金である。 特養で施設使用料が1日1.1万円が掛かる場合は、自己負担1割なので、残りの約30万円が毎月介護保険から特養に支給され、その半分の約15万円が税金である。年金も月15万円の半分7.5万円が税金。 合計22.5万円の税金が毎月投入されることになる。

以上の計算は正しいのであろうか? もし勘違いしていないなら、少々不公平な感じがしなくもない。 生活保護の場合は、更に不公平感が強くなるのだが、やむ終えないのだろうか?

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地方財政分析の学校-歳入分析 借金の話ばかりじゃ暗い(8月12日)

この講座は、様々な表を埋めながら、地方財政の仕組みを肌で覚えようと言うもの。頭で覚えても駄目という方針。 しかし、単に表に数字を転記するだけでは、仕組みまでの理解は難い。
と言うことで、本日の講義は、歳入の体系の話から始まった。歳入項目は沢山あるが、主要なものは10程度。この構造を憶えてから、早速、決算カードから分析表「経営一般財源等の推移」へ転記。次に分析表「経常収支比率の構成比の推移」へも転記。
経常収支比率は、「経常一般財源等」に対する「経常経費充当一般財源等」の割合。要するに、経常収入(毎年自由に使える収入)に対する経常支出(毎年かかる経費)の割合。地方財政のエンゲル係数(家計の中での食費の割合)とも言われ、この比率が高いほど、財政の弾力性が低いことになる。特定財源との関係も考えないと少々理解が難しいかもしれない。 この経常収支比率は、平成13年から、少々定義が変わった、新旧2種類の経常収支比率の計算方法を習った。

経常収支比率の分母である、歳入の分析を幾ら行っても、今後は人口減もあり多くは望めない。国の借金は900兆円超、地方の借金は200兆円。今年度は国の借金は1100兆円に達する。数字的に見るとギリシャを超えた状況。 首都圏はまだ良いが、地方の現状は惨憺たるものだそうだ。 先生の話を聞いていると暗くなる。 それではどうすれば良いか。 財政規模を縮小し、幸せの在り方を考え直すというのが、先生の提案のようだ。「入るを量りて、出ずるを制す」しかない。 本来は、「出ずるを量りて、入るを制す」が、王道との意見もある。が、ここは「無い袖は振れぬ」が現実的と思われる。

財政規模を縮小するには、歳出に切り込まねばならない。何に使うかが大切。しかし、バラマキと言われるように「貰えるものは何でも貰う」という傾向は否定できない。 ばら色の抽象論では困るし、総論賛成各論反対でも困る。 例えば、子ども手当ては、地方財政のどの歳出項目に対応するのか、等々、今後の高齢化・少子化を考える上で、共通の数字での議論が必要。行政や議員に任せるのでなく、市民一人一人が地方財政について真剣に考える必要があるということ。 日本全国で、市民の地方財政の自主勉強が燃え上がっているそうだ。 先生も引っ張りだこで日本中を飛び回っている。 西東京市市民も頑張ろう! まずは、宿題をキチンとやらねば・・・。

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登録生活支援員実習6日目(その2) 生活保護適用の不可思議?(8月11日)

社協が相談を受ける話は、対象者が身寄りの無い低所得者層が多い。収入は年金のみが大半。 その年金が少ない場合は、最低限の生活が維持できないため、生活保護の申請を行う。生活保護が受けられると、医療費や介護保険料は無料になり、ある程度安定した生活が保障される。その生活保護を受けるための年金は、上限が月約10万程度だそうだ。となると、それ以上の年金生活者は生活保護が受けられない。 ところがこの10万円強では、最低限の生活が維持できない場合があるそうだ。
例えば、AさんとBさんが、生活環境はほぼ同じで、老健に入ったとする。Aさんは、年金が月10万円以下なので生活保護の対象となる。一方Bさんは年金が10万円強なので生活保護はうけられない。 老健での生活は外出することもないので、支出は2人とも同じ程度。 結果はどうなるでしょう?Aさんは、少ないながらも毎月確実に貯金が可能。Bさんは、毎月赤字という結果となる。たまたまBさんには、少々の貯金があったので、それを取り崩しながら特養に入る順番を待つことができた。(特養に入所できれば、必要費用が少なくて済むので、年金だけで十分に生活でいるようになる) 貯金が底をつく前に、特養に入れることを祈るばかりだ。もし仮にBさんに貯金がなかったら? 老健に入ることができず、途方に暮れることになったそうだ。
生活保護を受けるには収入制限があるが、その制限値の少し上の年金収入があると、必要な保護が受けられないという、不可思議な状況になる。 何とかしないと困りますね。

これと似た話は、施設に入っている知的障害者でも聞いたことがある。 施設にいると殆ど生活するのにお金が掛からないので、支給される年金が貯まってしまということだ。 在宅介護で苦労している人との間で、大きな違いが生ずるので不合理だ、との批判。 困っている人を助けるのは当然だが、ちょっとした違いで大きな差が生ずるのは如何なものか。

上記の生活保護の収入制限値は、説明用の概略値である。正確な数値については、西東京市市役所の該当部門に問合せ下さい。

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登録生活支援員実習6日目 居宅整理を敢行 便利屋か?(8月11日)

とうとう便利屋をやりました。ゴミ屋敷?の大掃除?です。 西東京市社協の日常生活自立支援事業は福祉領域の便利屋です(注意:全ての社協が同じとは限らない!) 生活支援員は、福祉サービス契約の支援が主で、日常的な金銭管理も支援するが、実際には様々な周辺雑務も支援(ルール違反?)しないと本来業務が進まない。 現に困っている人を前に、これは我が部門の仕事でないとか、契約に含まれていない、などと悠長に構えてはいられない。 福祉のプロではあるが、「何でも直ぐにやる」という便利屋的な発想と行動力が欠かせない。
ということで、本日は、居宅整理を初体験した。 居宅整理とは? 今回の例では、独居の利用者が在宅介護から、緊急ショートステイ→老健→特養と施設介護の方向で対応する方針が決まったので、それまで借りていた部屋を全面的に引き払うことになったもの。 要するに、本人の全ての所有物を処分して、部屋を空っぽにするということ。

普段は、事務職の格好をしている相談員が突然作業着で登場し、一緒に来い、との命令。噂には聞いていたゴミ屋敷への突撃。 心と服装の準備ができていないぞ! この暑いのにご苦労様との労わりの声を聞きながら自転車で出発。 先着していた市の高齢者支援課のスタッフ及びケアマネと合流。 近所に挨拶をしてから、恐る恐るドアを開ける。 土足で上がりこむ。 窓を開ける。 入り口から、用意したゴミ袋に燃えるゴミと燃えないゴミなどと分類しながら詰め込み、搬出。本人がいないので、選択に迷わず、全て廃棄の方針。 調味料や食品などは、中味を捨てなければならないので少々面倒。次第に中へ進入。冷蔵庫、テレビ、電子レンジ、電気釜などはリサイクルへ。椅子、テーブル、ベット、マットレス、旅行カバンなどは、粗大ゴミへ。冷蔵庫はかろうじて玄関から搬出。ベットは、+ドライバーがあれば、簡単に分解できたのに、・・・。どうにか窓から搬出。部屋が1階で良かった。粗大ゴミの種類と数を確認してから、廃棄シールを近所のコンビニで購入。
丁度、不燃物のゴミ回収車が来たので、ドンドン引渡し。廃棄物も含めたゴミの山は、今日中に処分するように手配済み。 ご近所に挨拶して引き上げる。
事務所を出てから帰るまで一時間半の炎熱下の作業であった。 相談員に聞くと、今回は量も臭いも比較的楽だったそうだ。

分かったこと。 西東京市のゴミの分別の知識と経験は必須(実際にその場でテキパキと分別できること)。 ゴミ袋(ピンクや黄色)を大小持参。 廃棄シールの値段表は必携。 簡単なドライバーは時には必要か。 軍手は必須、汗拭き用の手拭いも。土足が望ましい。スリッパに履き替えては力仕事はできない。マスクをした人もいたが、慣れる方が楽かもしれない。 本来なら、作業着による完全武装と、作業後のシャワーも必須だと思うが、実際は着替えまでか?
便利屋は誰でも経験できるものではない。 貴重な体験だった。が、自分の事だと、できないかな? 誰かに捨ててもらった方が、思い切りができそうかもしれない。

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