地方財政分析の学校-歳出分析 混乱してきた 要注意(8月26日)

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本日は、歳出分析。 歳入の伸びが期待できないなら、歳出が合理的に行われているかを見直すしかない。では、何が合理的な配分か? 最近は、福祉・教育文化・環境型予算がトレンドだそうだが、社会環境や市民の価値観などにより逐次変化するので、単年度での評価は難しい。 時系列変化や類似団体との比較が大切とのこと。 では、歳出の分析方法は?

歳出の仕組みを診断する上での基礎的分類は二つ。目的別歳出と性質別歳出。 目的別歳出は、市の行政機能組織にほぼ対応。市の特徴が表れる。 性質別歳出は、内部管理用で、財政の健全性や弾力性を分析するのに使われるそうだ。

目的別歳出では、民生費の割合が約4割。教育費や土木費は各々10%強。民生費の内訳は、障害者福祉、児童福祉、高齢者福祉、生活保護。 各々の数値は、決算カードには記載されていない。別途、決算統計という資料の社会福祉費を探さなければならないそうだ。ちょっと面倒。 この高齢者福祉は65歳以下が対象で、65歳以上は特別会計で管理される、というのも少々戸惑う。 科目の用語自体は簡単そうだが、定義を正確に覚えないと混乱する。 段々、数字が見え難くなってくるので、要注意!

性質別歳出は、経常経費と投資的経費に分けられ、経常経費は、更に、義務的経費とその他の経費に分けられる。
義務的経費は、「人件費」「扶助費」「公債費」で、支出が固定費的に決まっているもの。全体の4割以上。この4割は、数値的には健全レベルだが、西東京市の場合は、合併に伴う特別債があるので、一概には健全とは言いにくいようだ。 この義務的経費は、固定的で変動し難いが、「人件費」は低下傾向。「扶助費(社会福祉費に相当)」は増加傾向だそうだ。 人件費とは、正規職員と嘱託の給与や議員報酬など。これが低下傾向と喜んでいると誤解する。
その他経費の「物件費」が曲者。「物件費」には、「賃金」や「委託料」が含まれる。 「賃金」?とは、非正規職員(今流行の派遣も含まれる)の人件費。委託料は、給食や塵収集などの外部業者への費用。実体は人件費が主体。 この物件費が、上昇傾向だそうだ。 要するに仕事を外部に丸投げすれば、自身の人件費は下がるが、外注費は増えるということ。 やはり時系列変化の分析は欠かせない。 物件費の中味を見ると、大半が固定費的な経費とも見える。維持補修費も同様。
要注意は補助費。内訳は負担金、補助及び交付金・寄付金・報奨金など。負担金は上位団体への上納金(言葉は悪いが)的なもの。補助金・負担金は外部団体や住民団体などへの交付金。 外部団体には、天下り先も含まれているそうだ。この補助費には、いわゆる埋蔵金候補があるかもしれないそうだ。
繰出金はちょと不思議な科目。一般会計から特定会計(公営事業等会計)への支出。特定会計が予算段階で赤字と見込まれるので、最初からその補填をするもの。西東京市で下水道、国民健康保険、介護保険などがある。 となると、特定会計とは?が気になる。 例えば生活保護費。 これは西東京市が全てを負担しているわけではない。国が75%、都が12。5%で、残りの12.5%が西東京市の負担。児童手当は、国が80%、都が10%、西東京市が10%を負担。 この国や都の支出が、国庫支出金や都支出金で、歳入の特定財源(使途が限定:いわゆるひも付き)として、非常に大きな割合を占めている。
その他の経費の最後が投資及び出資金・貸付金。第三セクターや外郭団体、地方公社への貸付は、「夕張問題」で脚光を浴びた。特定財源の「諸収入」と深いつながりに要注意。だが、西東京市の場合は殆ど無いに等しい。
投資的経費は、普通建設事業を指し社会資本(インフラ)の形成に役立ち即効性があると言われている。国や都からの補助があるか否かで、補助事業と単独事業に分かれる。

次回は1か月後の9月30日。宿題が沢山出た。

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